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お気づきでしょうがスペチアーレ（F40、F50、エンツォなどのスペシャル・モデル）を除けば、ストラダーレ（公道向け市販車）ではフェラーリはテスタロッサ・シリーズを最後にミドシップのV12は作っていません。テスタロッサ・シリーズは基本的構造はBBシリーズと同じです。つまりはフェラーリは長大なV12エンジンをミドに搭載するストラダーレに一度無理して取り組み、失敗してやめたってことです。ストラダーレに求められる条件をエンジンとミッションを二階建てにすることでなんとかしようとしましたが、結果はミドシップとは名ばかりのエンジンの後端がリアアクスルを超えた位置の半リアエンジン状態、二階建て構造による高すぎる重心による欠陥基本構造となってしまった劣悪な運動特性の失敗作しか生み出せなかったのです。マトモな構造のミドシップV12を作るとレーシングカーに限りなく近いスペチアーレになってしまうのです。あっと驚くアイデア（エンジン、ミッションを普通とは前後逆に搭載）でその問題を解決したのがランボルギーニですが、フェラーリがそれをマネするなんてことはできませんしね。で…V12ストラダーレは無理のないFRに戻したわけです。そもそもなぜそんな無理なことをしたかというと、元々スペチアーレとして企画されたBBだったのに、その当時の状況により（ぶっちゃけいわゆるスーパーカーの王者争い）ストラダーレとなりズルズル生産されてしまったという、正しくない動機の勢いに流されてしまったからです。しかし、ストラダーレなんかどうでもいいと思っていた創始者エンツォ・フェラーリが死んで、後を継いだルカ・モンテゼモーロはストラダーレをマトモな工業製品にして事業を拡大する道を選びました。フェラーリ・ストラダーレにおいては、おおまかにはエンツォはムチャクチャだが魅力あるスーパーカーを、モンテゼモーロはマトモだが魅力の薄れた乗用車を作ったということです。正しいか否かはさておき、どちらが「良い」のかはフェラーリに触れた人だけが判断することなのでしょう。