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●カーデザインの基本的な狙いとは？
カーデザインは，下記2つを考慮してつくられます。

(1) 工業デザインとして優れていること
(2) ブランド・イメージの保持

●工業デザインとは？
そのクルマに必要な実用性を維持した上で，「速い」とか「走破性が優れる」などの特徴を付与します。

●ブランド・イメージの保持とは？
BMWのデザイン・コンセプトは，下記の3点に特徴があります。

(1) フロント・グリルがキドニー（左右2分割）
(2) リヤ・ドアの後端が「ホフマイスター・キンク（Hofmeister kink）」
(3) リヤ・コンビネーションライトが「L型」

●キドニー
1933年の「303」から採用された伝統的なデザインです。
最近，ターボチャージャによるダウンサイジングにより，インタクーラ冷却のため，キドニーを含むグリル面積が拡大基調です

●ホフマイスター・キンクとは？
下記URLをご覧ください

http://bmw.jugem.cc/?eid=5519

リヤ・ドア後端がCピラーに食い込むわけですが，このドア・ガラスの後端の下部を三角形にカットしているデザインのことを意味しています。なお"kink"とは，英語で「こぶ」あるいは「ねじれ」を意味します

●L型ライトとは？
このデザイン・コンセプトは，5シリーズの場合，前々型（E39）まで使われていました。しかし前型（E60）では，フロント・ライトの上部にある「横に伸びる眉」に対応するためL型ライトが廃止されました（前後で呼応するデザインが良いため）。
しかし前のチーフデザイナーのクリス・バングルがやめたため，L型ライトを復帰させ，BMWとして「統一リヤ・デザイン」にし，「BMWとしてのデザインの統一性 ＝ ブランド・イメージの保持」を持たせることにしました。

●L型ライトの問題点は？
L型にすると，下記のデザインになります

(1) ボディ部とトランク部をわけてLの段差をつける
(2) ボディ部は，横幅を長く見せるため，サイドに回りこむ
(3) トランク部でも横幅長く見せるため，斜めにする

これらのデザイン要件がきついため，どうしても同一のデザインになり，シリーズ間の差がつけにくくなっています。このあたりの条件をもっとうまく処理させるには，バングルのような強烈な個性をもつデザイナーが必要でしょう。

簡単ですが，ご参考になれば幸いです。