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トヨタのカローラの2ドアクーペを「レビン(稲妻)」、同じく兄弟車だったスプリンターの2ドアに「トレノ(雷鳴)」というサブネームが付いていました。

このモデルの1983年～87年に生産されたモデルの車両型式が「AE86」で、愛称が「ハチロク」と呼ばれます。これは、スポーツモデルに共通してスカイラインが「R32/33/34」、RX-7が「FC/FD」などと同じように型式で呼ばれることが多いことからです。

レビン/トレノは4年間で6万台あまりが販売されており、それほどヒットしたモデルではありません。逆に販売当時はそれほど人気のあるモデルではありませんでした。
が、1995年～の「頭文字D」という漫画で並み居るハイパワースポーツカーを相手に連戦連勝の活躍をすることから人気が沸騰、一時は新車価格を上回る中古価格が付くことになります。

トヨタでは、このAE86を最後に小型車は全てFF化してしまったために5ナンバーではハチロクが最後のFR車となります。これで中古価格が高騰することになります。
それほど優秀なモデルではありませんでしたが、軽量(950kg程)でFRということから振り回しやすい手頃な大きさであったことが人気の一因でもあります。ドリフトキングの異名を持つ土屋圭一氏が愛用して推薦をしていました。

トヨタでは今回、若者の自動車離れを食い止めるべく若い人が買いやすい軽量低価格でスポーツ走行が楽しいハチロクのような車を作ろうという企画が立ち上がり、これが今回の「86」というモデルになります。
かつてのトヨタの名車「2000GT」のようなデザインテイストを持っている…という意味で、「トレノ2000GT」という名前ではありません。

トヨタはスポーツモデルを発表する際には、何度か2000GTの名前をセールスに利用しています。かつてスープラ(70)が発表された際にも、2000GTを彷彿とさせる3000GTというキャッチコピー(3000cc)を使っています。

実際に今回の「86」は、旧レビン/トレノとは全く関係がありません。スバルの設計でインプレッサをFRにした感じ…というのが正しく、血統はインプレッサのいとこといったところでしょうか。単にイメージだけを「頭文字D」のハチロクに重ねているだけです。

その証拠に、北米での名前は「サイオンFR-S」となることが発表されており、MR2スパイダー(MR-S)の後継と位置づけられています。
ちなみにセリカの後継は「サイオンtC」として北米には投入されており、日本国内へはクーペが売れないことから未発売です。

アルテッツァも最初の企画の立ち上がりは「ハチロクの復活」だったのですけどね…それが販売面から4ドアとなってしまいます。
噂によると、「86」にもベンツCLSやアウディA7のような4ドアクーペの派生車があるらしいという話です。販売面から見たら、当然の成り行きでしょう。