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プリンタの修理屋です。

いろんなことをやりすぎて混乱されたようですね。

まあ、最後の状況がすべてと考えて良いでしょうね。
中古で購入した商品は、以前の状況がわかりませんので、それは当てになりません。

ざっくりとまとめると、
「新品のものや、印字良好のはずのプリンタヘッドで印字が出ず、不良のプリンタヘッドの時はかすれながらも印字が出たのでしょうか？」
「クリーニングすればするほど、ダメージがひどくなってしまうのでしょうか？」
という２点ですね。

実は、これは充分に起こりうることです。
私も何度も経験しています。

これは、プリントヘッドのノズルにどうやってインクを送っているかという事情を理解しなければなりません。
まず、インクタンクの中にはインクを圧送するような仕掛けがないであろう事はわかりますよね。
同様にヘッドの中にもそういうものは無いこともわかっていただけると思います。

実は、インクは、パージユニットによって吸いだされています。

オートバイとか、昔の自動車でキャブレターというものがありました。燃料を供給する装置です。
霧吹きの原理で燃料を霧化させていましたが、その一部にフロート室というところがあり、霧吹きを安定させていました。

それほど大きな空間ではありませんけど、ヘッド内部にも似たようなインク溜りがあり、パージユニットでインクを吸引して、そこを満たすと、後は表面張力に力でインクがノズルまで流れていきます。
ノズルではヒーターの力で外にインクを飛ばしますので、インクが少なくなった分だけインク溜りからインクが流れて行きます。

パージユニットというのはポンプです。
ポンプは圧力をかけて押し出すものと、圧力を下げて吸い出すものがあり、パージユニットは後者です。

吸い出すタイプのポンプで一番怖いのはエアの吸い込みです。
途中でエアが入ることもありますけど、大元でエアが入るとなかなか吸ってくれません。
井戸のポンプなどで、「呼び水」といって回しながら水を入れてやると吸ってくれるようになるのですけど、これはエアの障害を取り除くためと考えて良いです。


さて、新品のプリントヘッドは、一応保護液なるものが入っていますけど、中はほとんど空のはずです。
その状態でもパージユニットが正常ならインクタンクならインクを吸いだして、正常に印刷を始めてくれるのですけど、パージユニットが弱ってきていると、吸引力が足りずにインクを流せなくなります。

今まで使っていたヘッドは、僅かですけどインクが内部に残っていたことが考えられます。
それが呼び水のような効果でインクを吸いだしたという事が考えられます。

無水アルコールで洗ったら、出なくなったというのも、内部がきれいになりすぎたから、そう考えることは可能です。


ただ、もう少し厄介な心配もあります。
ひとつは無水アルコールの洗浄。
メーカーではそんな作業は認めていませんし、それに近いことでヘッドトラブルを起こす可能性も案内しています。
http://cweb.canon.jp/e-support/information/printhead.html

この漏電によってメイン基板が破損することもあります。

また、クリーニングを行うときには、吸引だけではなく、全ノズルに通電してインクも噴射させるはずです。
インクが全く来ない状態で無理に続けるとヘッドを焼ききってしまう可能性もあります。
それで新品ヘッドを駄目にされた例もいくつかあります。（キヤノンが販売していたころ）


まあ、修理に出すのが一番なのですけど、残念ながらこの機種のサポートは,
今年の１月末で終了しています。
来年の２月という話もありますけど、それは別の機種です。
キヤノンに依頼しても受け付けてはもらえません。

ただし、少々事情があり、修理は可能なのです。
2013年2月までサポートしているのは、PIXUS iP90vといって、この機種の後継モデルです。
普通はメイン基板が変わったり、微妙に仕様が変わるのですけど、これらの機種は全く仕様は一緒で、本体のエンブレムに「v」が付いただけ。
プリンタドライバも同じものを使っています。
ですから、機械的な部分は100%修理可能なのです。
ただ、キヤノンはルール上受け付けないという話。

キヤノンの下請けで以下のような業者がいますけど、事情を話して相談すれば対応してくれる可能性は高いはず。
http://www.kantocs.co.jp/
http://www.ismedia.co.jp/
http://www.megacosmo.co.jp/canon/repair.html

ただし、定額修理で対応してくれるかどうかは微妙です。喜んでやっていたわけではないはずですから。

また、どこで手に入れられたか判りませんけど、ヘッドを買った相手に相談してみては？
普通に流通しているものじゃないですし、ツテはあるかも。