823

view

プリンタの修理屋です。

iX5000 と iX7000 は形式的には兄弟機種のように思えますけど、全く考え方の異なる機種です。
また、Pro9000MarkⅡ、とPro9500MarkⅡも同様で、写真画質を極めるというコンセプトは一緒でもアプローチは異なります。

iX5000は４色のインクを装備し、黒は顔料インク、カラーは染料インクです。黒インクは普通紙専用で、光沢紙などを選択するとカラーの３色だけで印刷します。

iX7000は最近出た機種ですが、キヤノンの中でも非常に特殊なモデルです。
ベースになったのはMX7600という複合機で、他のモデルと同様に５色なのですけど、印刷前に用紙の表面にクリアインクを噴射し、その上に顔料インクを噴射していく方式で、実質６種類のインクが必要です。
自動車の塗装で仕上げ印刷の前に下地塗装をするようなものです。発色や耐久性が向上するというのがメーカーの説明です。
かなり前にも同様の発想の機種があり（BJC-700JとBJ F800）、それの改良版と思われますので、大きな問題は無いだろうと思います。

Pro9000MarkⅡはPro9000の後継機種で、ほとんど差が無いはずです。（色々と改良はされていますが、目に見える差はなさそうです）

Pro9500MarkⅡは同様にPro9500の後継で、こちらも小変更でしたが、スペックの差はかなり開きが出ました。

Pro9500の最大の欠点は印刷速度の遅さです。Ａ３ノビの写真を印刷すると２０分くらいかかります。
MarkⅡでは半分位の時間で印刷できるようになりましたが、Pro9000は元々早かったために差はわずか、Pro9500は１０分短縮ということで、無視できない差ということです。

価格の問題でPro9500とされているのでしょうけど、叩き売りに近い状態になっているのはそれなりの理由があるという事です。



iX5000、Pro9500は現在も所有していて使用しています。（Pro9500は使用頻度は低いですけど）
また、Pro9000と同じヘッドを使うiP8600の使用経験はあります。

全く同じ画像をiX5000とPro9500で印刷して人に見せると、素人さんはiX5000がきれいと言い、セミプロクラスになるとPro9500をとりました。
セミプロに言わせるとiX5000は発色が不自然と言うことでしたが、素人さんはメリハリのきつい発色をきれいと感じたようでした。

１０色インクのプリンタと３色で印刷するプリンタを比較するのですから、比較自体が無茶にも思えましたが、iX5000の画質の高さは予想外でした。
逆に、そのサンプルを見て、納得してiX5000を選択する人も多かったです。


iP8600は用紙サイズもＡ４ですし、使い込んだ中古と言うこともあり、単純に比較は出来ませんけど、iX5000ほど発色はきつくないのですけど、Pro9500のような軽やかな発色でもないため、比較するとべとついた感じに見えました。


個人的な印象では、良い写真が撮れて、キチンと補正などもして『作品』として出力するのでしたらPro9500系でしょう。
iX5000はオールマイティで低ランニングコストは魅力ですね。
また、ポップなど人の眼を引く目的の出力なら最適と言えます。

iX7000については使用したこともありませんし、固定した評価も聞きませんけど、少なくとも耐候性は上がっているでしょうね。
発色に関してはiX5000よりは自然な感じだろうと思います。