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プリンタの修理屋です。

ES30は旧型になりますね。メーカーとしての在庫はありませんので、流通在庫のみになります。
以前にテストがてらＣＰ７７０を入手しテストしたことがあります。

使ってみるとすぐに分かることなのですけど、普通のＬ判用紙ではありません。
縦に用紙を送り、１色の印刷が終わるとプリンタの中に引き戻されて次の色を印刷、そういったことを合計４回繰り返します。
印刷が終わった後に引き戻すため、用紙の前と後にはローラーで挟むためのつかみシロがあります。
オーバーコートをして印刷が完了すると排出されますけど、つかみシロの部分を切り取って（手で折り曲げると簡単に取れます）、Ｌ判サイズになります。
ですから、通常市販されているＬ判の用紙は使えないのです。

対応している用紙がどこかから出ていれば使えないことはないでしょうけど、今のところそういった商品は聞いたことがありません。
したがって専用用紙（インクシートとのセット）を使うことになります。


余談ですけど、昇華型プリンタはワープロなどに採用されていた熱転写プリンタと大差ない構造です。
Ｌ判セットの場合、
Ｌ判の幅のフィルムに、Ｌ判の長さで、イエロー、マゼンタ、シアン、透明（オーバーコート）の４色のインクが塗布されています。
１枚の写真を作るためにＬ判の長さの４倍のフィルムを使うことになります。
使用後のフィルムは印刷に使った部分が抜けてしまいますので、再使用は出来ません。

３６枚分のセットの場合、１１９ｍｍ（Ｌ判の長さ）×４色分のインクシートが入っていることになります。

非常に無駄な気もしますが、インクジェットのように写真の質（色、濃度）によってコストが変わることはありません。



個人的な考えですけど、このシリーズはほぼ写真印刷に特化した非常に贅沢な商品です。
キヤノンのオンラインショッピングで比較しても、複合機のMP490より高いです。
MP490と比較するとランニングコストはES30のほうがやや有利ということでしょう。

スペックを比較すると、MP490は4800dpi／３色（写真印刷時は３色です）、ES30は600dpi×３色ですから、数字の上では圧倒的な差でMP490に軍配が上がります。
ところが、出来上がった写真を見ると、（個人的には圧倒的に）SELPHYのほうがきれいです。

SELPHYの画質は軽やかで明るいです。それに比べるとインクジェットはべとついて、どんよりした感じです。
あくまでも並べて比較した場合の話ですけどね。


でも、その画質を見てしまうと、コストの高い専用紙、他に使い道の無い贅沢な機械であること、フチナシといっても両サイドにはマイクロカットのぎざぎざが残ること、大きなサイズは出来ないこと、そういった多くのデメリットがかすみます。

ただ、写真以外にはほとんど使い物にはならない機械ですから、販売店などでサンプルを確認することをお勧めします。