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プリンタの修理屋です。

基本的にはインクジェットプリンタならありうる動作ですが、問題は頻度とか程度の問題です。

長くキヤノンのプリンタを見てきていますが、2008年の機種以降、起動時などのクリーニングの動作にかかる時間は長くなっている気がします。
ただし、感覚的な話で実際に測定したわけではありません。（すでに古い機種は手放しておりますので比較しようもありませんけど）

インクジェットプリンタの場合、液体のインクを使いますので空気中に放置しておくと乾燥してしまいます。
乾燥したインクは粘度が上がり、ノズル付近に残っていると噴射するインク粒に干渉して噴射方向が変わってしまいますので、残すことは許されません。

そこで、電源を入れたときには全ノズルからインクを噴射しつつ吸引し、その後自動車のワイパーのような部品でノズル面に残ったインクを拭い取ります。
ただ、毎回一定の動作ではなく、前回印刷してから（電源を切ってから）の経過時間で動作が変わります。
長く使わなければ乾燥が進むので念入りにクリーニングを行うという事です。


もうひとつ、印刷途中でのクリーニング動作もあります。
インクタンクからヘッド部分にインクが供給されていることはお分かりと思いますけど、ポンプなどを使って圧送しているわけではありません。
クリーニングと同じような動作でノズル側から吸引します。インクタンクからインクは引き出され、ヘッド内部に流れ込みますが、ノズルから出る前に止めます。
ヘッドの中には若干のインク溜りがあり、そこにもインクが溜まるわけです。
ノズル部分でインクを噴射すると、ヘッド内部のインクの量は減るわけですが、表面張力（毛管現象）によってインク溜りからノズルへインクが流れて行きます。

印刷するときはノズルの一つづつに噴射指示を出すわけなので、それをカウントしていればインク溜りのインク量は計算できます。
それが不足してくると印刷を一時的に止めてクリーニング動作に入ります。

微少な量を安定して送るためには、毛管現象を使うのが安定するわけです。

これらは必要性があって行っている動作です。
さらに、廃インク吸収体は、そういう前提で計算しています。


通常の機種であれば、メーカーが想定している使い方（純正インクを使って、週５日で毎日５～１５ページ程度）であれば、５年使っても廃インク量は半分程度で済みます。
ところが印刷頻度が低いとか、非純正インクを使用すると廃インク量は増えます。
印刷頻度が低い場合、電源投入のたびに念入りなクリーニングを行いますので、印刷数の割にはロスが多くなります。

最近は見かけなくなりましたけど、ＯＡタップもよくありません。
電源コードを抜いてしまうと（タップの電源を切るのも同様）、プリンタのタイマーがリセットされて、前回の使用時間が不定となり、念入りなクリーニングが行われてしまいます。


また、この機種特有の不利な条件があります。
一応、プリンタの使用想定は５年といっているのですけど、このクラスのプリンタは実質的に３年程度で想定しています。
価格が安くなってしまい、修理に出す人が非常に少なくなったこと、場合によってはインクがなくなったら買い替えてしまう人もいます。
修理自体も部品交換はせずに同等の機種での現品交換で対応します。
機械の仕様として大量印刷をすると早めに廃インクが満杯になる可能性があるという事です。
コストの問題で高い耐久性を持たせられないのと、高い耐久性を持たせても意味がないという現状があるわけです。


過去の経験だけで言えば、クリーニングの回数が異常だった機械はありません。
おそらく大丈夫としかいえませんが、しばらく様子を見ていただければと思います。