1.はじめ に本機はプロフェッショナルの制作現場での使用を想定して、機能及び性能を追及したヘッドホンです。この用途で特に重要な原音に忠実なサウンドならびに遮音性を徹底的に追及し、それらを高度なバランスで実現するために、これまでソニーが培ってきた技術、そして新たに開発した技術を余すことなくつぎ込んでいます。この冊子ではそれらの技術について解説します。.原 音 に忠 実 なサウン ドのため に-1液晶ポリマーフィルム振動板ドライバーユニットの振動板材料には、軽量かつ高剛性で高内部損失という、一 見相反する特性が求められます。広い帯域にわたって入力信号を忠実に音に変換するためには、振動板の剛性の高さが必要とされる一 方、振動板自体の不要な共振を抑えるための内部損失の高さが求められます。液晶ポリマーは、このふたつを高度なバランスで兼ね備える材料として従来から知られていました。しかしこれまでの組成、製法では、十分な耐熱性が得られず、またフィルム伸度が小さいことから、成形の自由度が狭く、薄さが要求されるヘッドホン用の振動板材料として使用することはできませんでした。今回、伸度の高い液晶ポリマーワニスを用いたキャ...