93

view

「ギア比の幅」、を分かりやすく言えば、車を動かす為にアクセルを踏み込んでエンジン回転数が上がります。1速目で時速何キロまで引っ張れり（エンジン回転数のレッドゾーン手前）、そして次の2速目にバトンタッチを出来るかの幅と思って頂いて良いかと思います。そこでＡＴのギア数ですがギア数が少ないほどそのギアが担当する幅が広くなり、シフトチェンジをした際のショックが大きくなります。当然ですがギアが多くなればその逆になります。そしてそれが普通の生活圏の中では快適性に繋がります。これは普段私達が生活をしている中での話しです。
が質問のＩＳ－Ｆ（トルコン式８速ＡＴ）の様に通常モデルと明らかに違う車種は少なからずともその性能を引き出し、普段の生活の中でもそのパフォーマンスを体感したいと思うのは必然かと思います。そうするとまずは加速性能を引き出す為に、エンジン回転数を上げギアの幅を使い加速します。そして次のギアにバトンタッチする際、ギアが多ければ多いほどその前後のギアの担当速度域が重なり合います。そうすると加速する為に次のギアに変更したのに重なり合う部分が多い為に思ったほど加速が得られずに更に次のギアに変更（スキップ）すると言うことが起こり得ます。エンジンの性能が「無限」であれば多段化でもいいのでしょうが、かならず限界はありますので、その範囲内で効率良くシフトの範囲を配置（セッティング）すると考えれば必ずしも多段化はメリットだけではありません。デメリットは他の方の回答にもあるように重量増が挙げられますし、パフォーマンスを謳う車であればあるほど、無駄な重量増より軽量化が大きなパフォーマンスです。大多数の人が一般道や高速道で運転をすることを考えればそのギアを全て使いこなしていける場所(サーキット以外では）はありません。では何故ＩＳ－Ｆが８段式トルコンＡＴなのかは、私個人の考えですが、普段乗りでの快適性を求めたのがその一因にあると思います。ましてやトルコン式（オイルを介して駆動力を伝える従来型のＡＴ）を採用した点もその理由ではないでしょうか。
現在世界最速といわれているブガッティ・ヴェイロンＷ１６気筒８，０００ｃｃ、１００１馬力の車でも７段シーケンシャルなのですから。
そういう意味ではＩＳ－Ｆの８速ＡＴはパフォーマンスを求めている人にとっては無駄だと言えますし、ＩＳ－Ｆにそこまで求めていない普段乗り重視の人には必要かと思います。