134

view

最初にそれぞれの方式を説明いたします。

●ホンダのSH-AWDとは？
★特徴
ホンダのSH-AWD（ホンダの後輪左右の駆動力制御方式）は，画期的な4WDです。
従来のクルマの旋回モーメントは前輪で発生させ，後輪はそこで決まった旋回円になるよう，つまり受動的（パッシブ）に後輪左右の駆動力配分をディファレンシャルギアでおこなっていました。つまり後輪は積極的に旋回に関与していなかったのです。もちろん後輪のグリップがないと，後輪側の横力も発生しませんが。

SH-AWDは，後輪左右の駆動力を積極的に制御することで，旋回性能を飛躍的に改善したものです。つまり外輪側の駆動力を増すことで，より強い旋回モーメントを発生させます。

★基本的制御
前後駆動力配分比 ＝ 70:30 ～ 30:70
後輪左右駆動力配分比 ＝ 100:0 ～ 0:100

●トヨタ クラウンのi-Fourは？
センターデフを使い，前後輪の駆動力配分について電子制御の湿式多板クラッチをつかうアクティブ・トルクスプリット方式です。センターデフ方式のため，基本的な前後輪駆動力配分比は，30:70です。後輪を増やしていあるのは，4WDで前輪側が大きいと，旋回しにくいからです。

●どこが違うのか？
最大の差異は，後輪左右の積極的な駆動力配分があるのか，ないのかという点です。当然，ある方が，優れています。たとえばBMWのX6にも，後輪左右の駆動力配分機構（トルクベクタリング）がついています。2tonを超える大きな車体ですが，マツダのロードスターのような走りが楽しめます。

●i-Fourについて
雪道のような滑りやすい路面での走破性や重量アップの小さい点（60kg）などから，i-Fourは4WDとしては優れています。しかし走りを考えると，4WD機構をより拡張した後輪左右の駆動力配分機構がある方が，優れています。

●本当に速いのは？
じつは，SH-AWDはかなり重量があり，レース場などではあまり速くありません（先代フーガの3.5Lに負ける）。これは他の2WD車が車重の軽さを生かしたり，タイヤをすべらせたりして速いからです。当然，町中では，SH-AWDのほうが上質な走りといえます。

簡単ですが，ご参考になれば幸いです。